ポイント
おしるしは、お産が近づいて子宮の出口がやわらかくなり、開き始めたときに出る、少量の血が混じった粘り気のあるおりものです。色は透明や乳白色から、ピンク、赤や茶色の筋が混じるものまであります。おしるしのあと陣痛が始まるまでは、数時間のことも、数日から数週間のこともあります。おしるしだけでは入院にならないことが多いのですが、妊娠37週未満のとき、少量を超える出血があるとき、水のようなものが流れ出るときは、すぐ産院に電話してください。
目次
トイレでふいたら、ピンクや茶色が混じったドロッとしたおりものがついていた。妊娠の終わりごろなら、それはおしるしかもしれません。おしるしは、お産が近づいて子宮の出口がやわらかくなり、開き始めたしるしです。妊娠37週以降なら、ふつうはそれだけで心配する必要はありません(Cleveland Clinic)。
ただ、おしるしがあっても、陣痛がいつ始まるかまではわかりません。妊娠37週未満のときや、少量を超える出血があるときは、様子を見ずに産院に電話してください。
おしるしとは? 粘液栓との関係
妊娠の初めに、子宮の出口(子宮頸管)に粘液がたまって、ふたのようなかたまりができます。これが粘液栓です。細菌が子宮に入るのを防ぐ役目があり、プロゲステロンなど妊娠中に増えるホルモンによって作られます(Cleveland Clinic)。
予定日が近づくと、子宮の出口はやわらかく、薄くなり、開き始めます。すると粘液栓がゆるんで腟に押し出され、下着やトイレットペーパーにつきます。国立成育医療研究センターは、おしるしを「出産前の準備段階で起こる出血」と説明しています。赤ちゃんを包む卵膜は子宮の壁に張り付いていますが、子宮の下の部分が開いてくると、卵膜と子宮の壁がはがれて出血するためです。名寄市立総合病院の資料でも、おしるしは少量の出血が混じったおりもので、子宮口が開くことで血液混じりの粘液が出る、とされています。
日本の産院の資料では、血が混じっていることがおしるしの目印です。米国のCleveland Clinicはもう少し細かく分けていて、粘液が中心のものを粘液栓、血が中心で粘液が少し混じるものをbloody show(血の混じったおしるし)と呼んでいます。英国の国民保健サービス(NHS)は、粘液栓が出てくることを、そのまま「show(しるし)」と呼びます。どれも、子宮の出口が変わり始めたことを示すものです。
妊娠後期の性交や、妊婦健診の内診でも、粘液栓がゆるんで出てくることがあります。粘液は妊娠中ずっと作られるので、粘液栓は再生することがあり、一部が出たあとに、また別の日に出ることもあります(Cleveland Clinic)。国立成育医療研究センターも、おしるしが2〜3日続けて起こることがあるとしています。
おしるしの色と量:どこまで様子を見てよい?
見た目は人によって違います。Cleveland Clinicが挙げる、典型的な粘液栓の特徴です。
- 透明、乳白色、または少し血が混じった色(ピンク、赤、茶色)
- 糸を引くような、粘り気のあるゼリー状
- 長さは2.5〜5cmほど、量は大さじ1〜2杯ほど
- においはほとんどない
かぜをひいたときに出る痰のような見た目で、生理の血とはだいぶ違います(Cleveland Clinic)。一度にまとまって出ることも、少しずつ出ることもあり、少しずつのときは気づかないまま終わることもあります。
量については、Cleveland Clinicによると、血の混じったおしるしでも大さじ1〜2杯を超えないものです。妊娠中の多い出血は、胎盤がはがれる常位胎盤早期剥離や前置胎盤など、ほかのトラブルのサインのこともあります(Cleveland Clinic)。
おしるしの色の目安
| 見えるもの | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 透明、乳白色 | 典型的な粘液栓 | 時刻を控えて、ほかのお産のサインに気をつける |
| ピンク、赤や茶色の筋が混じる | 子宮の出口からの少量の出血。おしるしによくある色 | 量に気をつける |
| 鮮やかな赤い血が流れる、筋より多い血 | 何か問題が起きているサインのことがある | すぐ産院に電話 |
| 緑色や黄色、いやなにおい | 腟の感染症のサインのことがある(NHS) | 産院に電話して相談 |
日本の産院の資料には、連絡の目安を生理の多い日くらいの出血としているものがあります(名寄市立総合病院)。日本赤十字社医療センターは、生理より多く、ナプキンから漏れるような出血があれば、すぐ来院するよう案内しています。一方、NHSは、少量を超える出血があればすぐ産院に電話するよう勧めています。生理の多い日ほどでなくても、おしるしより多いと感じたら、迷わず電話してください。
図解
おしるしの色の目安
よくある色:粘り気のあるゼリー状で、一度に、または少しずつ出る
- 透明
- 乳白色
- ピンク
- 赤や茶色の筋
産院に電話
- おしるしより多い出血
- 水のようなものが流れる
- 妊娠37週未満
内診のあとの出血も、おしるし?
名寄市立総合病院の資料には、妊婦健診の診察のあとに少し出血しても異常ではない、と書かれています。Cleveland Clinicも、内診のあとに少量の出血があるのはよくあることで、おしるしとは限らないとしています。
子宮の出口には血管がたくさんあり、やわらかくなって開いていくときに、少し出血することがあります。血の混じったおしるしは、赤、茶色、ピンクで、粘液に血の筋が少し混じるだけのこともあります(Cleveland Clinic)。陣痛の始まる数時間前に出ることも、数日前に出ることもあります。
おしるしと、おりもの・破水の違い
妊娠の終わりごろは、おりものが増えます。名寄市立総合病院も、お産が近づいたサインのひとつに、粘液性のおりものが増えることを挙げています。NHSによると、健康なおりものは薄く、透明か乳白色で、いやなにおいはありません。NHSとCleveland Clinicをもとに比べると、次のようになります。
| 見た目 | どうするか | |
|---|---|---|
| ふだんのおりもの | 薄く、透明か乳白色。いやなにおいはない | 変化がなければ、特になし |
| 粘液栓 | 粘り気が強いゼリー状で、一度に出る量が多い。透明からピンク、茶色 | 時刻を控えて、ほかのサインに気をつける |
| 血の混じったおしるし | 粘液に少量の血。ピンク、赤、茶色 | 量に気をつける |
| 羊水(破水) | 透明で淡い色。ちょろちょろ続く、または一気に流れ出る | 産院に電話 |
羊水は尿と区別しにくいことがあり、最初は少し血が混じることもあります(NHS)。破水かどうかわからないときは、タンポンではなくナプキンをあてて、産院に電話してください。ナプキンなら、羊水の色を確かめられます(NHS)。破水したときの過ごし方は、破水の記事で説明しています。
おしるしから陣痛まではどのくらい?
決まった答えはなく、資料によって書き方も少しずつ違います。
- 国立成育医療研究センター:おしるしなしに陣痛が始まることもあれば、おしるしがあってから陣痛開始まで数日かかることもあります。
- 英国のNHS:すぐに陣痛が続くことも、数日かかることもあります。おしるしがないこともあります。
- 米国のCleveland Clinic:数時間から数日で始まることもあれば、数週間かかることもあります。
- 米国産科婦人科学会(ACOG):子宮の出口が開き始めて粘液栓が押し出されるのは、陣痛が始まる数日前のことも、陣痛の始まりと同時のこともあります。
Cleveland Clinicによると、粘液栓が出るのは、たいてい妊娠37週を過ぎてからです。予定日の数日前や数週間前に出ることもあれば、お産が進んで活動期に入ってから出ることもあります。おしるしに気づかないまま陣痛が始まる人もいます。
おしるしから、子宮口が何cm開いているかもわかりません。粘液栓が出ないまま子宮口が数cm開くこともあり、子宮口が開いていく途中のどこで出てもおかしくありません(Cleveland Clinic)。
お産が始まったかどうかは、陣痛のほうがよく教えてくれます。本陣痛は規則的に来て、だんだん間隔が短くなります(ACOG)。国立成育医療研究センターによると、定義上は陣痛が10分間隔になった時点が陣痛の始まりです。ほかに気をつけたい変化は、お産が近いサインにまとめています。
おしるしが来たらどうする? 電話が必要なとき
妊娠37週未満で、おしるしかもしれないものが出たときは、産院に電話してください。早産やほかのトラブルのサインのことがあります(Cleveland Clinic)。見たものがおしるしかどうか自信がないときも、電話して説明すれば相談できます。
- 色、量、見た目を控えておきます。おしるしか、血の混じったおしるしかを産院が判断するのに役立ちます(Cleveland Clinic)。
- 妊娠37週以降で、少量の血が混じったおりものだけなら、多くの場合は様子を見てかまいません。名寄市立総合病院は、おしるしだけでは入院にはならないとし、日本赤十字社医療センターも、おしるしのときは様子を見るよう案内しています。破水していなければ、特に避けることはふつうありません(Cleveland Clinic)。自分の場合はどうか、健診で確かめておくと安心です。
- 電話するときは、妊娠週数、見たものとその時刻、陣痛があるか、水のようなものが流れていないかを伝えます。
次のようなときは、おしるしを待たずに、すぐ電話してください。
- おしるしより多い出血があるとき(NHS)
- 水のようなものが流れ出るとき。破水かもしれません(NHS)
- 胎動がいつもより少ないとき(NHS)
Cleveland Clinicは、お産が近いほかのサインとして、赤ちゃんが下がってきて骨盤のあたりが重く感じること、だんだん強く頻繁になる陣痛、破水を挙げています。
陣痛が始まったら、時間を計ってパターンができてくるかを見ます。無料のWebの陣痛タイマーなら、1回ごとの持続時間と間隔がわかります。陣痛アプリContraction Timerでも、スマートフォンで同じように記録できます。アプリがどう計算しているかはアプリの計算方法に、いつ電話するかは産院に電話するタイミングにまとめています。
要注意サイン:陣痛の間隔に関係なく、すぐに電話を
次のどれかに当てはまるときは、陣痛のパターンを待たずに、昼でも夜でもすぐに産院や助産師に電話してください。このリストは、英国の国民保健サービス(NHS)と米国産科婦人科学会(ACOG)の案内に沿っています。こども家庭庁も、出血、破水、おなかの強い張りや痛み、胎動の減少があれば、すぐに産院に連絡するよう呼びかけています。
- 破水したとき。陣痛がまだなくても電話してください。
- 羊水に色がついている、またはいやなにおいがするとき。
- 腟から出血したとき。おしるしに少し血が混じるのはお産の始まりの一部のこともありますが、それより多ければ電話してください。
- 赤ちゃんの動き(胎動)がいつもより少ないとき。
- 陣痛の合間にもおさまらない、強い痛みが続くとき。
- 38℃以上の熱があるとき。
- 妊娠37週未満(36週6日まで)で、お産が始まったかもしれないと思うとき。
- 1回の陣痛が2分より長く続く、または10分間に6回以上の陣痛があるとき。
- 不安なとき、心配なとき。いつ電話してもかまいません。
強くいきみたい感じがあり、いまにも赤ちゃんが生まれそうなときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
このリストの出典:NHS: Signs that labour has begun (2023);NHS: Pregnancy symptoms you need to get help for;ACOG: How to tell when labor begins;こども家庭庁:すこやかな妊娠と出産のために
よくある質問
おしるしと陣痛はどちらが先ですか?
決まった順番はありません。国立成育医療研究センターによると、おしるしなしに陣痛が始まることもあれば、おしるしがあってから陣痛開始まで数日かかることもあります。英国のNHSも、おしるしがないままお産になることがあるとしています。米国産科婦人科学会(ACOG)は、粘液栓が押し出されるのは、陣痛が始まる数日前のことも、陣痛の始まりと同時のこともあると説明しています。
おしるしが来たら、どれくらいで陣痛がきますか?
人によって違います。NHSは、すぐに陣痛が続くことも、数日かかることもあるとしています。Cleveland Clinicによると、数時間から数日で始まることもあれば、数週間かかることもあります。お産の始まりの目安になるのは、間隔がだんだん短くなる規則的な陣痛や、破水のほうです。
おしるしが出たら、産院への電話は必要ですか?
妊娠37週以降で、少量の血が混じったおりものだけなら、多くの場合は様子を見てかまいません。名寄市立総合病院は、おしるしだけでは入院にはならないとしています。妊娠37週未満のとき、おしるしより多い出血があるとき、水のようなものが流れ出るとき、胎動が少ないときは、すぐ電話してください(Cleveland Clinic、NHS)。おしるしかどうか迷うときも、見たものを説明して相談できます。
おしるしの量はどのくらいですか? 茶色や鮮血でも大丈夫?
Cleveland Clinicによると、粘液栓の量は大さじ1〜2杯ほどで、血の混じったおしるしも大さじ1〜2杯を超えないものです。ピンク、赤、茶色はどれもよくある色です。鮮やかな赤い血が流れ出るときや、筋が混じる程度より多い出血があるときは、すぐ産院に電話してください(Cleveland Clinic、NHS)。
内診のあとに出血しました。おしるしですか?
妊婦健診の内診のあとに少し出血するのは、異常ではありません(名寄市立総合病院)。Cleveland Clinicも、内診のあとの少量の出血はよくあることで、おしるしとは限らないとしています。出血が多いときや、止まらないときは、産院に電話してください。
おしるしがないまま陣痛が来ることはありますか?
あります。国立成育医療研究センターもNHSも、おしるしがないままお産が始まることがあるとしています。Cleveland Clinicによると、粘液栓が出ないまま子宮口が数cm開くこともあります。
出典
- 国立成育医療研究センター:おしるし、破水、陣痛について
- 名寄市立総合病院:お産が近づいたサインと始まったサイン
- 日本赤十字社医療センター:身体の変化と入院の時期
- Cleveland Clinic:Mucus Plug(2024)
- Cleveland Clinic:Bloody Show(2025)
- ACOG:How to tell when labor begins(2025)
- NHS:Signs that labour has begun(2023)
- NHS:Vaginal discharge in pregnancy(2024)
この記事は、医師や助産師のアドバイスに代わるものではありません。迷ったときは、必ず産院や助産師に電話してください。緊急のときは119番で救急車を呼んでください。
