ポイント
最初の陣痛は、生理痛のような痛みや、腰の鈍い痛み、骨盤の低い位置の圧迫感として感じる人が多く、お腹全体が張っては、またゆるみます(日本産科麻酔学会、HealthLinkBC、Cleveland Clinic)。お産が進むと、陣痛は規則的になって1分ほど続き、歩くことも話すこともできないほど強くなりますが、痛みは合間に引くことが多いようです(Cleveland Clinic)。約4人に1人は、合間にも引かない腰の強い痛みを経験します(Cleveland Clinic)。痛みの感じ方は、人によって大きく違います。
お腹がきゅっと張って、腰のあたりが鈍く重い。出産が近づくと、とくに初めてのお産では、陣痛はどんな痛みなのかが気になるものです。感じ方は人それぞれですが、経過にはパターンがあり、読み方を知っておくと役に立ちます。
最初の陣痛はどんな痛み?
最初の陣痛は、生理痛のような痛みとして感じることが多いようです。日本産科麻酔学会によると、陣痛が始まったばかりのころの痛みは比較的軽く、「生理痛のような痛み」または「お腹をくだしているときのような痛み」と感じる人が多く、お腹の下のほうから腰にかけて痛みます。薩摩川内市の子育て支援サイトも、最初からものすごい痛みや張りがあるわけではなく、生理痛より少し強い程度の、痛みを伴うお腹の張りで始まることが多いと説明しています。腰の痛みや骨盤の低い位置の圧迫感、太もも、股関節、お腹の不快感として感じる人もいます(HealthLinkBC)。Cleveland Clinicは、お産の初期の陣痛を、鈍く痛む感じや圧迫感に近いものと表現しています。
陣痛のたびに、子宮が縮みます。お腹に手を当てていると、だんだん硬くなっていくのがわかり、筋肉がゆるむと、痛みも硬さも引いていきます(NHS)。名寄市立総合病院も、お腹をさわって、痛みの間隔と続く時間を計るよう案内しています。赤ちゃんの頭が腸を押すので、トイレに行きたくなることもあります(NHS)。
お産の始まりの陣痛は、たいてい短く、不規則で、軽めです。1回の長さは、Cleveland Clinicが20〜30秒、HealthLinkBCが最初は15〜30秒で、のちに45秒ほどまで延びるとしています。間隔は、10〜20分おきから5〜7分おきへと縮まっていきます(HealthLinkBC)。この初期(潜伏期)は、数時間、ときには数日かかることもあります(NHS)。各段階の目安は、陣痛の持続時間にまとめました。
生理痛のような痛みは、少しずつ陣痛に変わっていきます。Cleveland Clinicによると、本物の陣痛は、さしこむような痛みや圧迫感として始まり、数時間のうちに強くなって、間隔も縮まっていきます。軽いままの痛み、不規則なままの痛み、休むと消える痛みは、練習の収縮(偽陣痛)の可能性が高くなります。おしるしや軟便など、ほかの初期のサインは、お産が近いサインで説明しています。
図解
お産が進むにつれて、陣痛の感じ方はこう変わります
-
はじめのころ
生理痛のような痛み
- 腰の鈍い痛みや、骨盤の低い位置の圧迫感
- お腹全体が張っては、またゆるむ
- お腹をくだしているときのような痛みと感じる人も
-
お産が進むと
規則的で、強い痛み
- 規則的なパターンで来る
- 1回が1分ほど続く
- 歩くことも話すこともできないほど強くなる
- 痛みは合間に引くことが多い
-
約4人に1人
腰の強い痛み
- 腰の下のほうの強い痛み
- 陣痛の合間にも引かないことがある
本格的に進んだ陣痛(活動期)はどんな痛み?
お産が進むと、陣痛の感じ方が変わります。Cleveland Clinicは、人々の表現を次のように挙げています。
- とても強く、激しい生理痛のような痛み
- 子宮の上のほうから下へ向かう、波のような張り
- お腹全体を締めつけたり、押し出したりするような感じ
痛みは、腰や脚に広がることもあります。先に腰に感じて、お腹の前側へ回り、太ももへ降りていく人もいます(healthdirect)。
1回の陣痛は、ふつう、ゆるやかに始まり、ピークに向かって強まり、やがて引いていきます。合間には、あまり痛みを感じないこともあります(NHS inform)。活動期の陣痛は、一般に40〜70秒続き、3〜5分おきに来ます(Cleveland Clinic)。陣痛の最中は、歩くことも話すこともできないほど強くなります。
日本産科麻酔学会によると、お産が進んで子宮口が半分くらい開くころに、痛みは急に強くなり、痛む範囲も広がります。分娩第1期の終わりごろには、おへその下から腰全体、外陰部にかけてとても強く痛み、「腰がくだかれそう」と表現する人もいます。こうした部位ごとの痛みは、突然変わるのではなく、強さを増しながら少しずつ変わっていきます。
この時期は、自分の内側に集中して静かになったり、このまま乗り切れるだろうかと不安になったりする人もいます(HealthLinkBC)。
痛みの強さには、大きな個人差があります。日本産科麻酔学会は、お産の痛みがどのくらい強いかを出産前に予測するのは難しく、一人ひとり感じ方が違うとしています。疼痛質問表を使った研究では、初産の人のほうが、経産の人より痛みを強く感じる結果でした。NHS informは、生理痛を思わせる程度から、はるかに強い痛みまで幅があるとし、ACOGは、お産が母親や姉妹、友人のお産と同じとは限らず、子どもごとに違うこともあると述べています。
経過が順調なお産について、Cleveland Clinicは、陣痛が1回60秒ほど続き、3〜5分おきに来るようになったら、産む場所に向かう時期だとしています。日本の産院は、向かう前に電話で連絡するよう求めています(名寄市立総合病院、愛媛県立中央病院)。目安は産院ごとに違うので、出産予定日のずっと前に確かめておきましょう。日本の産院の目安は、産院に電話するタイミングで比べています。
移行期といきむとき:お産の終わりごろの痛み
移行期は、お産の第1段階の最後の時期です。子宮口が7〜8cmから10cmまで開き、陣痛は2〜3分おきに来て、1回が60〜90秒続きます(HealthLinkBC)。HealthLinkBCは、この時期に次のようなことが起こりうるとしています。
- お尻のあたりの圧迫感
- 腕や脚のふるえ、脚のけいれん
- ほてりや寒気、汗
- 吐き気や嘔吐
- パニックや混乱におちいる瞬間、いらだち
子宮口が全開になると、排便したいような、強くいきみたい感じが出てくることがあります。腟が広がり、お尻のあたりに裂けるような、焼けるような感じを覚える人もいます。いきむときの陣痛は力強く、やはり2〜3分おきに、60〜90秒続きます(HealthLinkBC)。日本産科麻酔学会は、第2期には痛みが外陰部から肛門のまわりで特に強くなり、赤ちゃんが生まれる間際にピークに達すると説明しています。「すごく強い力で引っ張られる」「焼けつくような痛み」と表現する人もいます。薩摩川内市の資料も、分娩前にはかなり強く排便したくなったり、力みを感じたりするとしています。各段階で何が起こるかは、出産の流れにまとめました。
陣痛で腰が痛いのはなぜ?
陣痛で腰が痛くなることがあります。Cleveland Clinicは、お産の最中に始まる腰の下のほうの強い痛みを、英語で「back labor」と呼んでいます。陣痛のピークにいちばん痛みますが、合間にも痛みが残ることがあります。お産の最中に、約4人に1人が腰の強い痛みを経験します。
多くは活動期、子宮口6cmごろから始まりますが、もっと早く始まることもあります。痛みは持続的に感じられ、陣痛のたびに強まり、合間にもやわらがないことがあります。お尻や股関節に広がる筋肉のけいれんを伴うこともあります。原因は、赤ちゃんの向きだと医療者は考えています。赤ちゃんの顔がお母さんのお腹側を向き、後頭部が腰の下のほうの背骨や尾骨を押すときです。腰の痛みはお母さんにとってとてもつらいものですが、赤ちゃんに害はありません(Cleveland Clinic)。
Cleveland Clinicは、やわらげる方法として、次のことを挙げています。
- ソファや頑丈な椅子に寄りかかって前かがみになる。バランスボールの前でひざをつき、もたれる
- バランスボールの上で弾んだり、腰を回したりする
- ペットボトルやテニスボールを腰に当てて転がし、自分で、または付き添いの人に押してもらう
- 温かいお風呂に入る、腰に向けてシャワーを当てる。温湿布や冷湿布は、皮膚に直接当てない
- TENS、滅菌水の注射、鎮痛薬、硬膜外麻酔について、医療者に相談する
愛媛県立中央病院の資料も、痛いところを温めたりマッサージしたり、テニスボールでお尻を押さえてもらうと楽になるかもしれないと案内しています。腰の痛みに加えて、5分間隔で1回1分の陣痛が1時間続くとき、出血があるとき、破水したとき、急に下痢をしたときは、産院に連絡してください(Cleveland Clinic)。
本物の陣痛とお腹の張りの違い
練習の収縮(ブラクストン・ヒックス収縮)も似た感じがして、ACOGは、とても痛いこともあるとしています。見分けるポイントは、時間がたつと、どう振る舞うかです。次の比較表は、ACOGとCleveland Clinicの説明にもとづいています。
| ブラクストン・ヒックス(練習の収縮) | 陣痛 | |
|---|---|---|
| 間隔 | 不規則で、パターンがない | 規則的で、だんだん近づく |
| 長さ | 20〜40秒のことが多い | 30〜70秒のことが多く、だんだん長くなる |
| 強さ | 弱い。強く始まって弱まることもある | 少しずつ確実に強くなる |
| 休む、歩く、横になる | やわらぐ、またはおさまることがある | 続く |
| 感じる場所 | たいていお腹の前側だけ | 腰から始まって前に移ることが多い |
迷ったときは、陣痛を計って、休んで水分をとっても続くかどうかを見てください。紙に書く陣痛の記録表でも計れます。ACOGによると、休んだり水分をとったりしておさまるなら、本当の陣痛ではありません。子宮口が変化しているかどうかは、内診でしかわからないこともあります(ACOG)。練習の収縮は妊婦のお腹の張りで、数日にわたって止まっては始まる収縮は前駆陣痛で、詳しく説明しています。
陣痛をやり過ごすために
NHS informは、陣痛が来そうだと感じたときのコツを挙げています。肩や顔、手の力を抜く。呼吸をゆっくり、ゆったりさせて、吐くことに意識を向ける。骨盤を揺らしたり回したりして、楽になる声を出す。陣痛に逆らわないこと。陣痛は強まり、ピークを迎え、やがて引いていきます。付き添いの人は、背中をさすったり、手を握ってリズムを保ったり、いっしょに呼吸したりできます。
お産の始まりには、NHSが次のことも勧めています。
- 歩いたり、動いたりする
- スポーツドリンクなどで水分をとる
- 軽く食べる
- 温かいお風呂に入る
破水したときは、入浴やシャワーを避けて産院に電話してください(名寄市立総合病院、日本赤十字社医療センター)。healthdirect(オーストラリア)は、陣痛の合間に休むこと、体勢を変えること、温かいシャワー、温熱パックも挙げています。
Contraction Timerアプリには、鼻から吸って口から長く吐くリズムを示す呼吸ガイドがあり、振動でリズムを感じることもできます。陣痛1回ごとの長さと間隔を記録するタイマーは、Webタイマーでも無料で試せます。陣痛が始まる前に、どちらも試しておけます。
それでもつらいときのために、医療的な鎮痛もあります。healthdirectは、亜酸化窒素(笑気ガス)、モルヒネ、硬膜外麻酔を挙げています。日本では、麻酔薬で陣痛の痛みを和らげる無痛分娩があります。こども家庭庁は、各医療機関の診療体制をよく理解したうえで、担当の医師と相談して分娩の方法を選ぶよう呼びかけています。
要注意サイン:陣痛の間隔に関係なく、すぐに電話を
次のどれかに当てはまるときは、陣痛のパターンを待たずに、昼でも夜でもすぐに産院や助産師に電話してください。このリストは、英国の国民保健サービス(NHS)と米国産科婦人科学会(ACOG)の案内に沿っています。こども家庭庁も、出血、破水、おなかの強い張りや痛み、胎動の減少があれば、すぐに産院に連絡するよう呼びかけています。
- 破水したとき。陣痛がまだなくても電話してください。
- 羊水に色がついている、またはいやなにおいがするとき。
- 腟から出血したとき。おしるしに少し血が混じるのはお産の始まりの一部のこともありますが、それより多ければ電話してください。
- 赤ちゃんの動き(胎動)がいつもより少ないとき。
- 陣痛の合間にもおさまらない、強い痛みが続くとき。
- 38℃以上の熱があるとき。
- 妊娠37週未満(36週6日まで)で、お産が始まったかもしれないと思うとき。
- 1回の陣痛が2分より長く続く、または10分間に6回以上の陣痛があるとき。
- 不安なとき、心配なとき。いつ電話してもかまいません。
強くいきみたい感じがあり、いまにも赤ちゃんが生まれそうなときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
このリストの出典:NHS: Signs that labour has begun (2023);NHS: Pregnancy symptoms you need to get help for;ACOG: How to tell when labor begins;こども家庭庁:すこやかな妊娠と出産のために
よくある質問
陣痛と生理痛は、どう違いますか?
お産の始まりの陣痛は、生理痛とそっくりに感じることもあるため、痛みの感じ方だけで見分けるのは難しいことがあります。日本産科麻酔学会は、陣痛が始まったころの痛みを「生理痛のような痛み」と感じる人が多いとしています。違いは経過に出ます。陣痛はお腹全体が硬くなってはゆるむことをくり返し、数時間のうちに強くなり、間隔も縮まります。休んだり体勢を変えたりして痛みが消えるなら、陣痛ではない可能性が高いと、Cleveland Clinicは説明しています。
陣痛の痛みは、どのくらい強いですか?
痛みの強さは一人ひとり違い、出産前に予測するのは難しいと日本産科麻酔学会は説明しています。疼痛質問表を使った研究では、初産の人のほうが、経産の人より痛みを強く感じる結果でした。NHS informは、生理痛を思わせる程度から、はるかに強い痛みまで幅があるとしています。ACOGは、お産が母親や姉妹、友人のお産と同じとは限らず、子どもごとに違うこともあると述べています。
陣痛と分娩では、どちらが痛いですか?
どちらが痛いかは人によって違いますが、痛みは、お産が進むにつれて強まります。日本産科麻酔学会によると、痛みは分娩第1期から第2期へ突然変わるのではなく、強さを増しながら少しずつ変わっていきます。第1期の終わりごろは、おへその下から腰全体、外陰部にかけてとても強く痛みます。第2期に入ると外陰部から肛門のまわりの痛みが強くなり、赤ちゃんが生まれる間際にピークに達します。NHSも、陣痛は、お産が進むにつれて長く、強く、頻繁になる傾向があるとしています。
陣痛なのか、赤ちゃんが動いているのか、わかりません。
陣痛のときは、お腹全体が硬くなってさしこむように痛み、通りすぎるとやわらかくなります。1か所だけが硬く、まわりがやわらかいときは、赤ちゃんのおしりや手足が子宮を押しているのかもしれないと、Cleveland Clinicは説明しています。赤ちゃんの動きがいつもより少ないと感じたときは、すぐに産院に電話してください(NHS、こども家庭庁)。
陣痛で腰が痛いのはなぜですか?
お産の最中に、腰の下のほうの強い痛みが出ることがあります。Cleveland Clinicによると、約4人に1人が経験し、陣痛の合間にもやわらがないことがあります。医療者は、赤ちゃんの向きが主な原因だと考えています。赤ちゃんの後頭部が、腰の下のほうの背骨や尾骨を押すときです。お母さんにはとてもつらい痛みですが、赤ちゃんに害はありません。体勢を変える、前かがみになる、バランスボールを使う、腰を押してもらう、温めるといった方法が挙げられています。
陣痛が始まったばかりのとき、眠ってもいいですか?
痛みがまだ軽いなら、試す価値があります。HealthLinkBCは、お産の初期は、ふだんどおりに過ごす、散歩する、眠る、休むことを勧め、軽い食事と水分もとるよう案内しています。名寄市立総合病院の資料も、眠れるなら陣痛の合間に寝るよう案内しています。ただし、破水、出血、胎動の減少があるときは、休まずに産院に電話してください(こども家庭庁)。
出典
- ACOG:How to Tell When Labor Begins(FAQ, reviewed 2025)
- Cleveland Clinic:Contractions(2024)
- Cleveland Clinic:Back Labor(2024)
- NHS:Signs that labour has begun(2023)
- NHS inform (Public Health Scotland):Contractions, Ready Steady Baby(2025)
- HealthLinkBC (BC Ministry of Health):Baby's Best Chance, Stages of Labour(2024)
- healthdirect Australia:Giving birth: contractions(2025)
- 日本産科麻酔学会:無痛分娩Q&A Q1 どうしてお産は痛いのですか?
- 日本産科麻酔学会:無痛分娩Q&A Q2 お産のときはどこが痛いのですか?どのくらい痛いのですか?
- 薩摩川内市(さつませんだい こそだてサポートネット):陣痛ってどんな感じ?(2023)
- 名寄市立総合病院:入院の時期・連絡方法
- 名寄市立総合病院:お産の経過
- 愛媛県立中央病院:お産の流れを知ろう
- 日本赤十字社医療センター:身体の変化と入院の時期
- こども家庭庁:すこやかな妊娠と出産のために
この記事は、医師や助産師のアドバイスに代わるものではありません。迷ったときは、必ず産院や助産師に電話してください。緊急のときは119番で救急車を呼んでください。
