ポイント
妊娠中のお腹の張りの多くは、ブラクストン・ヒックス収縮と呼ばれる不規則な子宮の収縮で、子宮口を開きません。Cleveland Clinicによると妊娠中期から起こることがあり、お腹が硬くなる感じや軽い生理痛のような感じで、休んだり体勢を変えたり、水分をとったりするとおさまることがよくあります。陣痛は規則的に来て、間隔が縮まり、長く、強くなっていきます。妊娠37週未満で規則的に張るとき、張りや痛みが休みなく続くときは、すぐ産院に電話してください(NHS、こども家庭庁)。
目次
お腹がきゅっと硬くなり、しばらくすると、またやわらかく戻る。出産予定日が近いと、これが陣痛の始まりなのかと気になります。妊婦のお腹の張りの多くは、ブラクストン・ヒックス収縮と呼ばれる、子宮口を開かない正常な収縮です(Cleveland Clinic)。
見分ける手がかりは、時間がたつとどう変わるかです。お腹の張りは不規則なままで、強くなっていきません。陣痛はパターンができて、何をしていても規則的に来て、だんだん間隔が縮まり、長く、強くなっていきます。
妊婦のお腹の張りとは?
ブラクストン・ヒックス収縮は、お産の前に起こる子宮の収縮です。米国のCleveland Clinicは偽陣痛(false labor contractions)、英国の国民保健サービス(NHS)は練習の収縮(practice contractions)と呼んでいます。オーストラリア政府が資金を出す情報サービスPregnancy, Birth and Babyは、出産に向けて子宮の筋肉を整えるものだと説明しています。日本産科婦人科学会も、子宮の収縮を「お腹のはり」と言い表しています。
この収縮は、子宮口を開きません。子宮口をやわらかく、薄くするのに役立っているかもしれないと考える医療者もいる、とCleveland Clinicは述べています。張りをまったく感じない人もいます。
日本の産院の資料では、お産が近いころの痛みのない張りを、前駆陣痛と呼ぶこともあります(日本赤十字社医療センター)。この記事では、妊娠中期から起こる不規則なお腹の張りを扱います。臨月に入って陣痛のように感じるのに進まない収縮は、前駆陣痛の記事で説明しています。
お腹の張りは何週から? 妊娠中期・後期・臨月
Cleveland Clinicによると、ブラクストン・ヒックス収縮は妊娠中期か後期に始まることがあります。米国の医療機関Nebraska Medicineは、早ければ20週ごろから始まり、出産が近づくほど多くなるとしています。米国国立医学図書館のMedlinePlusは、妊娠初期を過ぎればいつ起こってもおかしくないとしています。同じく米国のBaylor Scott & White Healthは妊娠後期にとてもよくあるものとし、NHSは特に妊娠の終わりごろに起こると説明しています。
ですから、24週や30週にときどきお腹が張るのは、正常なこともあります。ただ、37週になる前は、張りが規則的になっていないか、早産のほかのサインがないかに気をつけてください。早産のサインは、この記事の後半にまとめています。
お腹の張りはどんな感じ?
Nebraska Medicineは、お腹の前側が締めつけられる、ぎゅっと縮むような感じだと説明しています。お腹が少しのあいだ硬くなり、たいてい1分たたないうちに戻ります。Cleveland Clinicは、軽い生理痛のような感じや、お腹がときどき張る感じにたとえています。NHSは、不快に感じることはあっても、たいてい痛みはないとしています。一方で、ACOG(米国産科婦人科学会)は、とても痛いこともあり、陣痛が始まったと思ってしまうことがあると書いています。
Pregnancy, Birth and Babyによると、1回はふつう30秒ほどです。陣痛は続くうちにだんだん長くなります。段階ごとの長さは陣痛の持続時間にまとめました。不快な張りでも、張っているあいだに話したり歩いたりはできるはずだと、Cleveland Clinicは説明しています。
感じる場所も手がかりになります。お腹の張りは、たいていお腹の前側や下腹部で感じ、一か所に集中することが多いものです(Nebraska Medicine、Baylor Scott & White Health)。Baylor Scott & White Healthによると、陣痛は腰から始まってお腹の前側へ広がることが多く、お腹から始まって腰へ広がる人もいます。
お腹が張りやすいきっかけ
お腹の張りには、きっかけがあることがよくあります。Baylor Scott & White Healthは、いちばん多いきっかけを脱水とし、ほかに次のようなものを挙げています。
- よく動いたとき、重いものを持ち上げたとき
- 膀胱がいっぱいのとき
- 性交
- 赤ちゃんがお腹をけるなどの胎動
- かぜやインフルエンザ、嘔吐など、体調をくずしたとき
Nebraska Medicineは、1日の終わりや体を動かしたあとに気づきやすいとしています。
張りが多いと感じたら、まずこのリストを見直してみましょう。忙しい日に水分が足りなかっただけ、ということもあります。張りが多くても不規則なままで、休んだり水分をとったりするとおさまるなら、お腹の張りの特徴に合います。規則的に来る張りは、話が別です。37週になる前は特に注意してください。
働いている人に向けて、日本産科婦人科学会は、重労働や長時間労働、ストレスのかかる仕事は早産のリスクを高めることがわかっているとし、仕事中によくお腹がはるときは、主治医や勤め先の上司、労務管理の担当者に相談するよう勧めています。安静や勤務の緩和が必要な場合は、厚生労働省の「母性健康管理指導事項連絡カード」も使えるとしています。
お腹の張りと陣痛の違い
1回の張りより、1時間以上のパターンのほうが多くを教えてくれます。次の表は、Cleveland Clinic、Pregnancy, Birth and Baby、Nebraska Medicine、Baylor Scott & White Health、ACOGの説明をまとめたものです。
| お腹の張り(ブラクストン・ヒックス収縮) | 陣痛 | |
|---|---|---|
| 間隔 | 不規則で、縮まらない | 規則的に来て、だんだん縮まる |
| 長さ | 30秒ほどのことが多く、たいてい1分未満 | 30〜90秒で、だんだん長くなる |
| 強さ | 強くならない。痛みより不快感 | だんだん強くなる。話したり歩いたりしにくい |
| 場所 | お腹の前側や下腹部。一か所のことが多い | お腹と腰。腰から前へ広がることが多い |
| 歩く、休む、体勢を変える | おさまることが多い。横になると消えることも | 休んでも続く。歩くと強くなることも |
| 子宮口 | 開かない | 開いていく |
国立成育医療研究センターは、陣痛かどうかを見きわめるのは難しいとしたうえで、36週以降で定期的な痛みがどんどん強くなっていくようなら陣痛だと説明しています。規則的に見える陣痛が何時間も続いたのに、そのまま消えてしまったときは、前駆陣痛の記事が参考になります。
Cleveland Clinicによると、お腹の張りには、ふつうお産のほかのサインが伴いません。本当の陣痛では、破水したり、おしるしがあったりすることがあります。MedlinePlusも、ブラクストン・ヒックス収縮には出血、羊水が漏れること、胎動の減少は伴わないとしています。
図解
1時間のお腹の張りと陣痛
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お腹の張り 不規則 · 30秒ほどのことが多い · 強くならない
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陣痛 間隔がだんだん縮まる · だんだん長くなる · だんだん強くなる
迷ったら、1時間様子を見る
張りなのか陣痛なのかわからないときは、1時間様子を見てみましょう。張りを計りながら、そのあいだに、お腹の張りがおさまりやすい方法を試します。1時間の様子でわかるのは、おおよその見当です。子宮口が開いてきているかどうかは、内診や経腟超音波検査で確かめられる、と米国のMarch of Dimesは説明しています。
破水したとき、出血があるとき、胎動がいつもより少ないときは、1時間待たずにすぐ電話してください。37週になる前に規則的に張るときも同じです(NHS)。
- 計り始めます。張りが始まった時刻と、続いた長さを書きとめます。やり方は陣痛の間隔の測り方で説明していて、印刷できる用紙は陣痛の記録表にあります。
- トイレに行き、水を飲みます。膀胱がいっぱいなことも、脱水も、張りのきっかけになります(Cleveland Clinic)。
- していることを変えます。立ち仕事や家事で動いていたなら、横になって休みます。長く座っていたなら、少し歩きます。
- 温かいお風呂に入るなど、リラックスできることをします(Cleveland Clinic、Nebraska Medicine)。
1時間たったら、パターンを見ます。
- 張りが弱まった、間隔があいた、止まった場合は、お腹の張りだったと考えられます。休んでいてかまいません。
- 規則的に続き、だんだん間隔が縮まった、長くなった、強くなった場合は、お産が始まっているかもしれません。
電話の目安は産院ごとに違います。名寄市立総合病院は、初産なら1時間に6回以上または10分ごと、経産なら10〜15分ごとの陣痛を目安にしています。愛媛県立中央病院は、初産が5〜7分間隔、経産が10分間隔です。海外では、NHSが5分間隔かそれより短い規則的な陣痛で、Cleveland Clinicが5分未満の間隔の強い陣痛が1時間続いたとき、または話したり歩いたりできない陣痛があるときに電話するよう案内しています。Nebraska Medicineは、37週以降の陣痛には5-1-1の目安(5分間隔で、1回1分以上、それが1時間以上)を使うとしています。電話は自分からかけてください。名寄市立総合病院や愛媛県立中央病院は、本人からの連絡を求めています。日本の目安の比べ方は産院に電話するタイミングにまとめました。
無料のWebタイマーは、持続時間と間隔を計算します。Contraction Timerアプリは直近1時間の平均も表示し、パターンが産院の目安に達するとお知らせします。平均とお知らせのしくみは陣痛カウンターの使い方としくみで説明しています。
張ったまま戻らないとき
お腹の張りは、ふつうしばらくすると戻ります(Nebraska Medicine)。お腹の張りや痛みが休みなくずっと続いているときは、愛媛県立中央病院が見逃してはいけない異常に挙げています。日本赤十字社医療センターも、おなかの痛みが10分も20分も休みなく続くときは、すぐ来院するよう案内しています。痛みがなくても、お腹が硬いまま戻らないときは、週数に関係なくすぐ産院に電話してください。
こども家庭庁は、出血、破水、おなかの強い張りや痛み、胎動の減少を感じたら、すぐにかかりつけの産科医療機関に連絡するよう呼びかけています。同じ資料は、胎盤が出産前に子宮からはがれてしまう常位胎盤早期剥離について、主な症状は腹痛と性器出血で、胎動を感じにくくなることもあると説明しています。
妊娠37週未満で、すぐ電話したい張り
お腹の張りは出産予定日の何か月も前から起こるので、妊娠中期や後期にときどき張るのは正常なことがあります。ただし、37週になる前の規則的な張りは、早産のサインのことがあります。日本産科婦人科学会は、妊娠22週から36週までの出産を早産とし、お腹のはりや痛み(子宮収縮)が規則的にあり、子宮の出口も開き始めるなど、早産の危険がさし迫った状態を切迫早産と呼んでいます。こども家庭庁は、切迫早産の症状として下腹部痛、性器出血、前期破水を挙げています。
NHSは、妊娠37週未満の人に、次のような早産のサインがあれば、すぐ産院に電話するよう案内しています。
- 規則的な陣痛やお腹の張り
- 生理痛のような痛み
- 腟から水がどっと出る、または少しずつ漏れる
- いつもとは違う腰の痛み
March of Dimesは、次のサインも挙げています。
- 骨盤や下腹部が押される感じ
- おりものの変化
- 下痢を伴う、または伴わない軽い腹痛
早産のときの陣痛は、痛いこともあれば痛くないこともある、とMarch of Dimesは書いています。サインがひとつでもあれば、すぐ産院に電話してください。
要注意サイン:陣痛の間隔に関係なく、すぐに電話を
次のどれかに当てはまるときは、陣痛のパターンを待たずに、昼でも夜でもすぐに産院や助産師に電話してください。このリストは、英国の国民保健サービス(NHS)と米国産科婦人科学会(ACOG)の案内に沿っています。こども家庭庁も、出血、破水、おなかの強い張りや痛み、胎動の減少があれば、すぐに産院に連絡するよう呼びかけています。
- 破水したとき。陣痛がまだなくても電話してください。
- 羊水に色がついている、またはいやなにおいがするとき。
- 腟から出血したとき。おしるしに少し血が混じるのはお産の始まりの一部のこともありますが、それより多ければ電話してください。
- 赤ちゃんの動き(胎動)がいつもより少ないとき。
- 陣痛の合間にもおさまらない、強い痛みが続くとき。
- 38℃以上の熱があるとき。
- 妊娠37週未満(36週6日まで)で、お産が始まったかもしれないと思うとき。
- 1回の陣痛が2分より長く続く、または10分間に6回以上の陣痛があるとき。
- 不安なとき、心配なとき。いつ電話してもかまいません。
強くいきみたい感じがあり、いまにも赤ちゃんが生まれそうなときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
このリストの出典:NHS: Signs that labour has begun (2023);NHS: Pregnancy symptoms you need to get help for;ACOG: How to tell when labor begins;こども家庭庁:すこやかな妊娠と出産のために
よくある質問
お腹が張り出すのは何週からですか?
Cleveland Clinicによると、ブラクストン・ヒックス収縮は早ければ妊娠中期から起こります。Nebraska Medicineは、早ければ20週ごろから始まり、出産が近づくほど多くなるとしています。張りを感じない人もいます。
夜中にお腹が張って目が覚めるのは大丈夫ですか?
妊娠中のお腹の張りは、1日の終わりや体を動かしたあとに気づきやすいとされています(ACOG、Nebraska Medicine)。不規則で、体勢を変えたり水分をとったりするとおさまるなら、お腹の張りの特徴に合います。張りが規則的に続いてだんだん強くなるとき、妊娠37週未満で規則的に張るとき、出血や破水、胎動の減少があるときは、夜中でもすぐ産院に電話してください(NHS、こども家庭庁)。
胎動でお腹が張るのはなぜですか?
Baylor Scott & White Healthは、ブラクストン・ヒックス収縮のよくあるきっかけに、赤ちゃんがお腹をけるなどの胎動を挙げています。ほかに、脱水(いちばん多いきっかけ)、よく動いたあと、膀胱がいっぱいのとき、重いものを持ち上げたとき、性交、かぜなどの体調不良もきっかけになります。
お腹の張りと陣痛の違いは何ですか?
お腹の張りは不規則で、間隔が縮まらず、強くもならず、休んだり体勢を変えたりするとおさまることがよくあります(Cleveland Clinic、Pregnancy, Birth and Baby)。陣痛は規則的に来て、だんだん間隔が縮まり、長く、強くなり、休んでも続きます(ACOG)。国立成育医療研究センターは、36週以降で定期的な痛みがどんどん強くなっていくようなら陣痛だとしています。
臨月にずっとお腹が張っていて、痛くないときは?
お腹の張りは、ふつうしばらくすると硬さがとれて戻ります(Nebraska Medicine)。張りや痛みが休みなくずっと続いているときは、痛みがなくても見逃してはいけない異常として、すぐ産院に電話してください(愛媛県立中央病院)。日本赤十字社医療センターも、おなかの痛みが10分も20分も休みなく続くときは、すぐ来院するよう案内しています。
1日に何回までなら、お腹が張っても大丈夫ですか?
何回までなら大丈夫という決まった回数は、ここで紹介している資料には示されていません。見るべきなのは、張りが規則的に来て、間隔が縮まり、強くなっていくかどうかです。妊娠37週未満で規則的に張るときは、すぐ産院に電話してください(NHS)。日本産科婦人科学会は、仕事中によくお腹がはるときは主治医に相談するよう勧めています。
出典
- Cleveland Clinic:Braxton Hicks Contractions: Overview and What They Feel Like(2025)
- NHS:Signs that labour has begun(2023)
- NHS:Premature labour and birth(2024)
- Pregnancy, Birth and Baby (Australian Government):Braxton Hicks or labour contractions?(2026)
- March of Dimes:Preterm labor and premature birth: are you at risk?(2024)
- Baylor Scott & White Health:Braxton Hicks vs. real contractions: how to tell them apart(2025)
- Nebraska Medicine:What do Braxton Hicks contractions feel like?(2025)
- MedlinePlus (U.S. National Library of Medicine):Am I in labor?(2026)
- ACOG:How to Tell When Labor Begins, patient FAQ(reviewed 2025)
- 日本産科婦人科学会:早産・切迫早産(2025)
- こども家庭庁:すこやかな妊娠と出産のために
- 国立成育医療研究センター:おしるし、破水、陣痛について
- 日本赤十字社医療センター:身体の変化と入院の時期
- 名寄市立総合病院:入院の時期・連絡方法
- 愛媛県立中央病院:お産の流れを知ろう
この記事は、医師や助産師のアドバイスに代わるものではありません。迷ったときは、必ず産院や助産師に電話してください。緊急のときは119番で救急車を呼んでください。
